本宮運輸・渡邉さん――男にできることは女にもできる。強い信念と優しい笑顔を持った女性ドライバー

イエロー

written by 大久保 崇

“誠心誠意を基本に物流を通じ社会に貢献する”を理念に掲げ、社会の物流ネットワークに貢献する本宮運輸有限会社。より便利な物流ネットワークを維持するために欠かせない存在が、自社のトラックドライバーの皆さんです。

今回は、そんな同社で働く女性ドライバーの渡邉 美香(わたなべ みか)さんに取材。昔から男性業界と認知される運送業界で働き続けてきた渡邉さんは、「男にできることは女にもできる」と強い信念を持ち、ドライバーとしてのキャリアを歩んで来られました。

そもそもなぜ渡邉さんは運送業界で働きたいと思ったのか、今働いている本宮運輸の環境をどのように感じているのかなど聞かせていただきました。

トラックドライバー 渡邉 美香(わたなべ みか)さん

トラックドライバー 渡邉 美香(わたなべ みか)さん

福島県出身。4児の男の子の母。これまで運送業に関わる仕事に就いてきた。育児を理由に一度は離れたこともあったが、今は本宮運輸のトラックドライバーとして家庭と仕事を両立している。国家資格である「運行管理者」を目指して日々勉強中。

“女性だから”ということだけで評価されない環境を脱し本宮運輸へ

――渡邉さんは本宮運輸に来られる前からトラックドライバーのお仕事をされていたのでしょうか。

基本的にはほとんどこの業界にいて、トラックに乗り続けてきました。ただ、子どもが産まれてからは保育園に送っていく時間との兼ね合いで、トラックの積み込み時間に出社できないことがあり、一時期は別の仕事をしていました。

子どもが小学校に入学してからはまたトラック業界に戻り、コンクリートを運ぶミキサー車に乗って朝7時頃~16時頃まで働くようになります。

ミキサー車の仕事も面白かったのですが、設定されたお給料が低かったのと、60歳を超えた目上の人の中には、私が女性だからという理由から、なかなか認めてくれない人もいました。

私はどちらかというと負けず嫌いで、「男にできる仕事で女にできない仕事はない」と思っています。だから男が上で女が下だという人達とは良い関係が築けず、しだいに周りは私を無視するようになっていきました。

当時勤めていた会社は、こうした状況を見て対策をしようとはしてくれたんです。ミキサー車には乗るのではなく、事務所に入って試験係をやらないかという話をしてくれました。「まだ年齢も若いから、試験係としての仕事を覚えて女性としての柔らかさで指導できるようになってほしい」と言ってくれたんです。試験係というとわかりにくいかもしれませんが、序列のようなものがあって、ドライバー、事務員、配車係がいてその上に試験係がいます。

そうした序列を強く感じてか、目上のドライバーの方々にとってはこの状況も面白くありません。運転もだめ、試験係も面白くない。こういった中だったので、「私はそこまでしてミキサー車の仕事がしたいのだろうか……」という思いになりました。

 

――時代なのかもしれませんが、何のために頑張っているのかわからないと感じるのも無理のないことだと思います……。

そもそも私は何事も突き詰めたいタイプなんです。

例えばコンクリートは何でできていて、砕石や石もどういう粒の石状なのかや、その石に対する水分量の値など、しっかりと知った上でコンクリートを運びたいと思っていました。こうして突き詰めて仕事をすることが、私にとって楽しい仕事のやり方。中途半端が嫌いなんですよね。

お客さんにコンクリートのことを聞かれても間違いなく答えられるようになりたかったし、何よりも「女だからわからないんだ」と言われるのは絶対に嫌でした。

――そのような経験をしてきて、今の本宮運輸でのお仕事はどのように感じていますか。

働きやすい職場だと感じています。

この業界の仕事は、大体9時から開始するのですが、積み込む荷物によって変わるので不定期です。そのため、帰る時間もバラバラなので夕飯の支度など、仕事後の予定が思った通りにならないことも多いと思います。

ですが私の場合、本宮運輸は家から5分くらいのところにあるのと、会長や社長に相談すれば、空いた時間を見つけて中抜けをさせてもらい、家に帰って夕飯を作ることもできます。

帰りが遅くなる時や、泊まりで働く時はご飯を温めるだけでいい状態にしておけば、あとは夫がしてくれます。課長たちも嫌な顔をせずに、中抜けをさせてくれるので、こういった点は非常に働きやすいと感じています。

あと来年、子どもが高校と中学に進学するため、お金がかかる時期なんですよ。だから今は少しでもたくさん稼ぎたくて、会長や社長に無理にお願いし土日祝日も仕事しています。そんな私のわがままを聞いてくれて、土日祝日でも働けるようにお二人とも、一生懸命、仕事を探してきてくれるんです。

家庭と仕事を両立させられるように整えてもらえているので、本当に良い会社だと感じています。

 

「男にできることは女にもできる」渡邉さんが男性現場で働く理由

――渡邉さんが男性現場と言われるようなこの業界で働くのは何か理由があるのでしょうか。

そもそも私は乗り物が好きなんです。移動式クレーンも運転できるんですよ。

あとは先ほどもお伝えしたように「男にできることは女にもできる」と思っているので、性別で仕事が制限されるなんておかしいと思っています。そのことを証明するために頑張っているのかもしれません。ちなみに私、18歳の頃は解体屋の仕事もしていたんですよ。

他には製造も経験しました。ただ、製造はじっとしていることが多いので私には合わないなと思ったんです(笑)。性格的にはとても男性気質なのだと思いますね。言いたいこともはっきり言いますし、コソコソと人の陰口を言うようなことは嫌いです。

 

――運送業界は、今でも男性業界だという印象が強いかもしれません。ですが中には、渡邉さんのようにこの業界で働きたいと思っている女性もいらっしゃると思います。どうしたら、こうした印象を変えていけると思いますか。

私のような女性が頑張ることも大事ですが、一番大事なのは会社が古い考え方から変わらないといけないと思います。

今でも「女の人は家庭が中心」だと思われがちなんですよね。運送会社には、私たちの世代やもう少し上の世代の人が、会社の経営者や上司として在籍していることが多いと思います。

こうした世代の人達は、夫婦で参観日に一緒に行ったり、夫が運動会に一緒に行ったりすることが理解できない人が多いんです。例えば保育園に預けた子どもの具合が悪くなった時に、夫が迎えに行くなんて考えられません。未だに女の人がするべきだと考えている人は割といるんです。

でも、こんな状態では20代の若い女性達は働きづらいままです。私も白い目で見られることを味わってきたから良くわかりますが、今のままでいいとは思えません。

 

――ちなみに渡邉さんは、そんな理不尽な対応をどのように乗り越えてこられたのでしょうか。

繰り返しになりますが、男には負けたくないというその一心ですね。

偏見めいた扱いを受けた時は一時的に辛くて落ち込むのですが、「この人達は家事もしないで仕事だけして、家に帰ってお酒を飲んで寝るんだ」や「くだらない人生送っているな」など、口には出さず自分の中だけ考えて、辛い気持ちや悔しい気持ちを処理していました。

夫はそんな私の考えを理解してくれています。よく夫に対しても「あなたにできることは私にもできるんだ」と接してしまいますから。ちなみに今月だって、夫より私の方が稼いでいます(笑)。

 

――お気持ちとして男性に負けたくないという気持ちがあることはとてもよくわかりました。とはいえ、男性の方が体格的には力も強いですし、怖いと感じることはなかったのでしょうか。

全くないですね。

私は剣道3段で武道の経験もありますし、何かあったとしても警察に行けばいいと思っていたので。

これも世代で今だったら考えられないですが、私たちが子どもの頃は親に叩かれることもよくありましたし、一つ上の兄とは年子なのもあって、胸ぐら掴まれるなど割と激しい喧嘩もしていました。だから男の人を怖いと思ったことは全くないんですよね。

 

――それは頼もしい限りです(笑)。運送業界で働きたいと思う女性がいたら、渡邉さんのいる本宮運輸に来れば安心ですね。

そもそも弊社は安心ですが、仮にもし何かあっても私が守ります。

ちなみに会長や社長が従業員に合わせて仕事を選んでくれるので、仕事内容的にもきっと働きやすいと思います。とはいえ、女の人だからといって他の人と不公平感がでないようにバランスを見て振り分けてくれています。

そういった意味でも、私自身だけでなく、私と一緒に働く周りの人も変な気を遣わなくていいから本当に働きやすいんですよね。

こういった会社が増えていけば、女の人でもトラックドライバーになりやすいと思います。「トラック業界は男の世界」という古い考えはなくなってほしいですね。

トラックは女の人でも誰でも運転できますので、運転が好きだ、トラックドライバーに興味がある、という人はどんどん飛び込んでほしい。何よりまずは、弊社にもっと女性ドライバーが増えてほしいですね。

 

成長期待値の高い運送会社だからモチベーション高く頑張れる

――トラックを運転したことがない身としては、大きな車の運転は本当に誰でもできるのだろうかと思います……。

私が思うに、むしろ車は大きければ大きいほど運転しやすいですよ。運転手の目線が高く周囲が見えやすいので、あとは車幅や長さは運転していくうちに経験で覚えられます。

バックができないくらい運転に自信がない人だとしても、弊社には優しく教えてくれる仲間もたくさんいるので全く気にしなくて大丈夫です。経験豊富なベテランドライバーや私たち、それに若い世代の人でも、新人に教えることができる人はたくさんいます。

私自身はまだここに来て経験が浅いので、教えられることは少ないかもしれませんが、相談に乗ることや話を聞くことはいくらでもできます。

 

――未経験の方でも経験を積めば誰でもできるようになるのでしょうか。

私はそう思います。今は休みなく働けるくらい、たくさんのお仕事があるのでドライバーが不足しています。少しでも興味がある方はぜひ来てほしいですね。

これからの季節だと(取材は2022年10月に実施)冬道が怖くて、すぐに仕事を始めづらいと思う人もいるかもしれません。その場合は、実際に入社する時期だけ、春先に入社する方向で相談すればいいと思います。

そんな条件でもきっと会長はOKしてくれると思うので(笑)。

 

――そういったところも含めてとても柔軟ですね。

本当にそう思います。実際働いてみて感じますが、とても働きやすいです。だから女の人で運送業界に興味がある方は、遠慮せずどんどん来てください。

 

――運送業という物流の仕事は、今の世の中になくてはならない重要な役割だと思います。本宮運輸も今後、今後、どんどん成長していかれそうですね。

そうですね。私も成長していくだろうと期待していますし、だからこそ頑張れます。

 

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