【ダシマス老舗・会津三菱自動車販売】顧客と誠実に向き合ってきた歴史が、愛される会社をつくった

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written by ダシマス編集部

創業30年以上の老舗企業に焦点を当てる本企画。持続的な成長と成功をおさめ、時代をまたぎ社会に貢献してきた歴史を紐解き、その長い期間によって培われた文化や知見から、多くの人に気づきとインスピレーションを与えることを目指しています。

本記事では、1978年に三菱自動車の新チャンネル「カープラザ系」の販売株式会社として福島県会津若松市に設立された、会津三菱自動車販売会社(以下:会津三菱自動車販売)の代表取締役社長 宮森正芳(みやもり まさよし)さんにご登場いただきます。

約25年前には東北に22社あった三菱販売会社でしたが、数々の危機によって統廃合が続き、現在では会津三菱自動車が東北に残る唯一の小規模ディーラーとのこと。そんな厳しい環境を乗り越えるときに何を考えてどう行動したのか、そして職場や地域に対する宮森社長の想いについて語っていただきました。

代表取締役社長 宮森正芳(みやもり まさよし)さん

代表取締役社長 宮森正芳(みやもり まさよし)さん

1973年会津若松市生まれ。成城大学卒。会津三菱に2001年着任。2015年に社長に就任。経営品質の考え方に出会ったことで、経営品質向上の取組を開始。会津若松経営品質大賞受賞。お客様,社員,地域が豊かになるために感動創造企業を目指します。好きなことはウォーキングや登山など体を動かすこと。1児の父。娘3歳。

執筆:山本 麻友香

執筆:山本 麻友香

元ハウスメーカー勤務の実績やブログ執筆経験を活かし、フリーランスライターとして活動中。2017年生まれの1人息子がいる母でもある。好きなことは、スポーツをすること、見ること、食べること、寝ること。

マニュアルではなく文化――心からお客さまを笑顔にしたいと考えて行動し、根付いた接客応対の土台

 

――まずは会津三菱自動車販売の創業の経緯について教えてください。

1978年に地元の造り酒屋を母体として、三菱自動車の「カープラザ系」の販売会社として設立されました。創業してから今まで、三菱自動車のリコール事件や燃費不正問題、東日本大震災やコロナ禍などの天災と数々の困難に見舞われましたが、地元の地域の方々に支えられながらここまで経営を続けてこられました。

 

――宮森社長が会社を経営するうえで大事にされている価値観について教えてください。

諦めない心ですね。当社はリコール事件の前、創業まもなく倒産の危機に直面した際、現会長が会社を立ち上げ直した経緯があるんです。そのときに会長は、「天はその人に解決できない困難は与えない」「必ず解決できるから諦めてはいけない」と話していました。私もその心意気を引き継いでいますし、どんなに苦労しても乗り越えられない苦労はないと考えています。それもあってか、こうして生き残ってこられました。

 

――相当な困難があっても続けてこられたのですね。自社ならではの強みがあれば、教えてください。

接客応対において、「みんないつもあったかい」ということですね。一部の人だけがいつもあったかいわけでもないし、みんなが時々あったかいわけでもなくて、みんなが“いつも”あったかい。お客さまと営業との1対1の関係性だけが深くなるのではなく、お客さま対みんなという関わり方が大事だと捉えています。お客さまが来店されたときに発生する、当社のみんなとのあったかい関わりの繰り返しによって、お客さまとの絆が深まっていくんです。

 

 

――接客応対は昔からこだわりを持って取り組まれてきたのでしょうか。

2004年に起きたリコール事件がきっかけですね。2000年にもリコール事件が起こっていたので、2回目のリコールということでかなり報道でも取り上げられていました。それを見て心配になったユーザーの方が、平日にもかかわらず1日80組から90組のお客さまが店頭にいらっしゃったんです。日中は店頭に来られたお客さまの対応をし、夕方5時頃から元々予約が入っていた車検の作業を行って、全ての仕事が終わるのは夜中という状況が半年ほど続きました。

そんな状況の中で、身体的にも精神的にもかなり苦しいはずのメカニックが愚痴を全くこぼさずに、使命感を持って対応していたんです。また、営業スタッフがお客さまにご連絡をすると、「大丈夫?」「頑張っている?」と優しく声をかけて応援してくださいました。

こうした人たちの影響もあって、私たちは「お客さまの心も傷ついているのだから、車も直してお客さまの心も治すんだ」と、全員で使命感を持って対応しました。どうすればお客さまに笑顔で帰っていただけるか、チームで考えるうちに社内でプロジェクトチームが立ち上がり、お客さまと関わるポイント一つひとつを改善した店頭応対のプロセスが出来上がりました。そのプロセスは、マニュアルではなくて文化として今も当社に根付いています。

 

何事にも先を見据えて、覚悟を持って取り組む。

――宮森社長のご経歴について教えてください。

父が会津三菱自動車の社長をしておりまして、私は大学を卒業してから三菱自動車工業本社に3年間の研修に行きました。そこでまず、販売促進、販売システム、中古車、経営管理の4つの部署をそれぞれ半年や1年単位で回ったんです。その後、神奈川県にある三菱の自動車販売会社に営業の修行をしに行きましたが、約1年8カ月経った頃に三菱自動車のリコール事件が起きたことで、会津三菱自動車に呼び戻されました。そこからは会津三菱自動車で業績を立て直すべくさまざまな改善活動に取り組み、2015年から社長を任されました。

 

――改善活動とは、どのようなことをされたんでしょうか。

会津三菱自動車の販売店に戻って感じたギャップを埋めるべく、見込み客の管理や車検の工程管理、コスト削減、掃除を含めた店舗の体制づくりを行いました。当時3期連続で業績が赤字でしたが、改善活動を始めてからの1年で黒字に転換できました。ただ、そのときは短期的な業績の回復に絞った活動をしていたため、辞めたいという社員も出てきまして。そこで経営品質の向上に取り組み始めてからは風土も良くなり、会津若松の経営品質大賞の受賞や、メーカーの顧客満足度調査で全国1位にもなりました。

 

――行動が結果に結びついたのですね。その要因となったポイントはなんでしょうか。

私が営業の修行に行かせてもらった販売店は、当時三菱の中で一番車を売っていた拠点で、相当厳しい指導があるものの、1年で3年分の仕事が覚えられると言われていた拠点でした。そこでの経験が活かされているからだと思います。

学生を卒業してすぐの研修期間は、短期間で部署が次々に変わったこともあってあまり重要な仕事ができず、社会人になってから3年経っても電話すら取れない状況でした。このままでは会津に戻っても会社を潰してしまうかもしれないと思って、当時のメーカーの取締役の方に厳しいと言われている販売店で修行させてほしいと頭を下げて、自ら頼み込んで修行に行ったんです。

 

――若いときの下積みの経験があったからこそなんですね。

相当メンタルが鍛えられましたし、そのときのことがあったから今までやってこられたと思っています。当時は毎日ミーティングがあって、それが終わってからもマンツーマンで遅くまで指導がありました。振り返ってみると修羅場ですが、そういう体験も今となってはいい思い出です。

 

――なぜそこまで頑張ることができたんでしょうか。

やはり覚悟があったからだと思います。その場で成果を出すために頑張るのではなく、将来会津三菱自動車販売に帰って自分が社長になったときに、会社を発展させるために必要なことを学んでいるんだと思って取り組んでいました。

 

早く結果を出せるような秘策はない。ひたすら継続することで見えてくる転換点

 

――今の会津三菱自動車の職場はどんな雰囲気なのでしょうか。

元から話しやすい雰囲気や助け合いの風土があって、部門を横断して助け合いをする文化があります。現在は心理的安全性のある職場を目指して、「話し合う」「助け合う」に加え「新しいことに挑戦する」「異質の考え方は大歓迎」という4つを理想として勉強会や継続的な学習会に日々取り組んでいます。

 

――心理的安全性を取り入れたきっかけは何でしょうか。

2020年頃、組織の風土が分裂していっているような感覚があり、このままだと会社が崩壊してしまうかもしれないという危機感があったので、関係性の質を高めるところから改善を始めました。いろいろと調べているうちに心理的安全性という考え方にたどり着き、とても感銘を受け、まずは私とマネージャーで毎週心理的安全性についての勉強会を始めたんです。それを1年以上続けていたら、少しずつ風土が変わっていきました。

 

 

――だいぶ根気強く取り組まれたのですね。

やはり風土を変えようとしたら、年単位で取り組まないと成果は出ないんです。反対に、継続をすることで必ず成果が出ます。早く良い結果が欲しいと思って秘策を探っても、正直言ってそんなものはありません。苦しくて苦しくて、もう辞めたいという時点で諦めてしまうとそのままですが、そこで踏ん張って続けていくと突然結果が出る臨界点みたいなところに達するんです。そこまで続けられるかどうか。それに全てかかっています。

 

――これからさらに、どんな職場にしていきたいと考えていらっしゃいますか。

人間的に成長していくことができて、やりがいを感じられる職場にしていきたいと考えています。どんなに給料や福利厚生が良くても、やりがいを感じられない職場では、幸せを感じられず辞めてしまう可能性が高まるからです。

当社で以前、社員に仕事をしていて楽しいこと、幸せを感じる瞬間についてアンケートを取ったら、20数人で150個くらいの回答が出てきたんです。そこには、成長を実感できるときや人から認められるときに幸せを感じる、という回答が多くありました。

では、どうしたら成長できるかと考えたら、自分で考えたことを発言する、やってみる、やってみたことを反省する、ということにつきます。だからこうした機会が得られる組織をつくれば、一人ひとりが成長ややりがいを感じられるのではないかと考えています。

 

――ありがとうございます。最後に事業も含め、会社全体としての今後の展望を教えてください。

会津の子どもたちに対して、魅力的な大人がたくさんいる地域だな、自分もあんな働き方をしたいな、あんな会社にしていきたいなと思ってもらえるようにしていきたいと思っています。

自動車ディーラーはお客さまとのリアルな接点があるのが強みです。車を通した思い出づくりにどんどん関与して、子どもたちにとってカッコいい大人たちのモデルになり、夢や希望があふれる地域づくりに貢献していきたいと考えています。

そして、子どもたちからこの地、会津で働きたいと心から思ってもらえるように、今後も会社のみんなで一丸となって頑張っていきます。

 

 

会津三菱自動車販売の詳細はこちらから

HP:https://aizummc.jp/

 

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